《ひとよ》
《監督》白石和彌
《あらすじ》雨の降る夜に、タクシー会社を営む稲村家の母・こはるは、それが、最愛の子どもたち三兄妹の幸せと信じて夫を車で轢き殺した。そして、こはるは15年後に戻ってくると子どもたちに誓い、家を去った――。それから時は流れ、現在。次男・雄二、長男・大樹、長女・園子の三兄妹は、あの日から心に傷を抱えたまま、それぞれの人生を歩んでいた。そんなある日、母・こはるが帰ってきた。15年ぶりの再会を果たした子供たちの気持ちはさまざまで……。
白石和彌によるヒューマンドラマ!
やさぐれ感のあるダーティな世界観で締められているが、終始暗いわけでもなく、時折挟まれるコメディシーンが、退屈しないテンポの良さを生み出している!
家族とは何なのか?多くのハリウッド映画で飽きるほど描かれてきた家族愛の一言では語られない、複雑な感情が数多に入り混じり、得も言えぬ愛憎にも似たアンビバレンツな家族観を生み出している!
昨今話題の毒親というものが、如何に滑稽な言い回しであり、如何にその言葉が自分の人生観を狭めているかを教えてくれる作品でもある!
(愛を素直に受け取ることが出来るか、詰まるところはそれなのだ)
自分に対して常に正直であれ、好意を向けてくる人間を無碍に扱うな、家族から決して目を逸らすな。そんな事をこの映画からは教わった気がする。
今年上映された中でも指折り五本には入るであろう素晴らしい作品だ!
満足度は90点!