土鍋-映画備忘録

ごく平凡な社会人の映画日記!時々音楽の話

《ターミネーター : ニュー・フェイト》

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《監督》ティム・ミラー

《出演》アーノルド・シュワルツェネッガーリンダ・ハミルトン/マッケンジー・デイヴィス/ナタリー・レヴェス/ガブリエル・ルナ/ディエゴ・ボネータ

《あらすじ》人類滅亡の危機は、まだ終わっていなかった…。メキシコシティの工場で働く21歳の女性ダニーが、未来から来たターミネーターREV-9に襲われる。同じく未来から送り込まれたスーパー・ソルジャーのグレースは、その攻撃からダニーを守ろうとして、激しい攻防を続けていた。そこに現れたのは、ターミネーターを宿敵として人生を送ってきたサラ・コナー。人類の新たなる運命を懸けた彼らの戦いには、あのT-800も関わっていく…。

 

キャメロンの代表作、T2の続編!

なんだろうな、このパッとしない感じは。

世代というものの壁だろうか…リンダ・ハミルトンシュワちゃんの「演技している感」がもの凄い!

自然な演技から完全に外れたわざとらしい目線の送り方や仕草が一々気になってしまって、最早物語を見送るどころではなくなってしまった!

マッケンジー・デイヴィスの役どころの嵌り具合に比べてしまうと、最早彼らが過去の人である事を感じてしまったね!

脚本は賛否両論あるようだけれど、僕は概ね◯!

 

満足度は70点!

《ひとよ》

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《監督》白石和彌

《出演》佐藤健鈴木亮平松岡茉優/田中裕子

《あらすじ》雨の降る夜に、タクシー会社を営む稲村家の母・こはるは、それが、最愛の子どもたち三兄妹の幸せと信じて夫を車で轢き殺した。そして、こはるは15年後に戻ってくると子どもたちに誓い、家を去った――。それから時は流れ、現在。次男・雄二、長男・大樹、長女・園子の三兄妹は、あの日から心に傷を抱えたまま、それぞれの人生を歩んでいた。そんなある日、母・こはるが帰ってきた。15年ぶりの再会を果たした子供たちの気持ちはさまざまで……。

 

白石和彌によるヒューマンドラマ!

やさぐれ感のあるダーティな世界観で締められているが、終始暗いわけでもなく、時折挟まれるコメディシーンが、退屈しないテンポの良さを生み出している!

家族とは何なのか?多くのハリウッド映画で飽きるほど描かれてきた家族愛の一言では語られない、複雑な感情が数多に入り混じり、得も言えぬ愛憎にも似たアンビバレンツな家族観を生み出している!

昨今話題の毒親というものが、如何に滑稽な言い回しであり、如何にその言葉が自分の人生観を狭めているかを教えてくれる作品でもある!

(愛を素直に受け取ることが出来るか、詰まるところはそれなのだ)

自分に対して常に正直であれ、好意を向けてくる人間を無碍に扱うな、家族から決して目を逸らすな。そんな事をこの映画からは教わった気がする。

今年上映された中でも指折り五本には入るであろう素晴らしい作品だ!

 

満足度は90点!

《フッド : ザ・ビギニング》

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《監督》オットー・バサースト

《出演》タロン・エガートンジェイミー・フォックス

《あらすじ》何の苦労も知らずに穏やかに暮らしていた領主のロビン・ロクスリーは十字軍に召集されて戦地へ。4年後、激戦を生き抜き帰国するも、知らない間に戦死届が出され、領地も財産も没収されていた。領民も恋人も追放されたロビンは、海を渡って潜入してきた敵の狙撃手ジョンの導きを得て領主に返り咲く。国を思うままに動かそうとする長官と教会内部に入り込む一方、裏では頭巾(フッド)でその顔を隠し、領民らから搾取した金を盗んでは還元するのと同時に教会が抱える秘密に迫っていく。頭巾の男はやがて《フッド》と呼ばれ民心を集めるが、脅威を感じた教会は《フッド》を捕えるために非情な先鋭舞台を送り込む。

 

ロビン・フッドを原作とした作品!

ロビン・フッドと言えば必ずオチは死ぬというところに落ち着きそうというのが、僕の勝手な偏見なのだけれど、どうやら今回はそんな事はなかったようだぜ…!

それはともかく、この作品ではとにかく弓を使ったアクションがプッシュされていて、タロン・エジャトン氏がまるでホークアイの如く、光の速さで弓をつがえては放つシーンが印象的だ!

フッドのいかにも盗賊然としたヴィジュアルも、厨二受け間違いなしである。

戦争映画でよく見られるTPS視点のカメラワークを筆頭に、内容自体は終始スリリングな魅力に溢れているけれど、脚本には色々と突っ込みどころが多い気もする…!

上手く誤魔化しているけれど、特に終盤の駆け足感は私のような素人にも分かってしまうほど…!

良くも悪くも、予告通りの内容ではあった!

 

満足度は70点!

《ジョーカー》

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《監督》トッド・フィリップス

《出演》ホアキン・フェニックスロバート・デ・ニーロ

《あらすじ》「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに秘かな好意を抱いている。笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気溢れる<悪のカリスマ>ジョーカーに変貌したのか?

 

DCコミックスのヒーロー"バットマン"の敵役、"ジョーカー"を主役としたスピンオフ作品。

今年最も重要な作品である事は言うまでもなく、その本質は「タクシードライバー」などと似通ったものを感じられるが、更に繊細な生き辛さを描写しているようにも感じられる!

特に精神を犯されたものに対しての世間の目の厳しさと言うものを、如実に表している…「他人に優しく」「笑う角には福来たり」など、これだけ世に蔓延る綺麗事が私たちの間で浸透しないのは何故か…それは人間の本質が悪であるからだ。

大まかなところで言えば、この作品は、私たちに再度そのことを確認させてくれる他に、現代社会において私たちが気づかないうちにジョークとしているものの実態を、私たちに突きつけるような性質も持っている!

これ以上を言葉にしてしまうと嘘臭くなってしまう!

ただ観て欲しい!

世の中に生き辛さを感じる人間にとって、この作品はナイフ以上に鋭利な凶器となり得るのだから…!

 

満足度は100点!

《ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち》

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《監督》キム・グエン

《出演》ジェシー・アイゼンバーグアレクサンダー・スカルスガルドサルマ・ハエックマイケル・マン

《あらすじ》野心家のヴィンセントと従兄弟の天才プログラマーのアントンは、カンザス州のデータセンターからNY証券取引所を、直線1,600kmの光回線で繋ぎ、従来よりも0.001秒速いネットワークを実現するプロジェクトを立ち上げた。これが実現すれば、株式の高頻度取引(ミリ秒単位の高速で株の売買を行うシステム)において、年間500億円以上の利益を得られる。しかし彼らの前には、一万件の土地買収など、苦難に次ぐ苦難が立ちふさがった…。

 

キム・グエン監督によるノンフィクション作品(脚色多々あり)!

予告からコメディ色の強い作品かと思ったが、割と教訓を伝える意味合いの強い作品だった!

キャストはよく見る顔ぶれだけあって、演技は申し分ない!

ジェシー・アイゼンバーグのいつものマシンガントークに加え、スカルスガルド長男のコミュ障のハマりっぷりはなんとも言えない魅力がある!

登場人物に二転三転と次々と災難が降り掛かり、先の読めない展開にハラハラしっ放し!

テンポ良くコンパクトにまとまっている為、終始退屈せずに観ていられる作品です。

ラストで得られた教訓は、これまで何度も他の作品で言われてきたことかもしれないけど、内容がこれほど"良い具体例"としてきっちり引き出された作品は、数える程しかないに違いない!

人生とは何か?金か?時間か?そうではないのだ。

今ある瞬間そのものを大切にする事、それが人生なのだ。

「僕の一生が16ミリ秒だったら?」

「きっと100年生きたくらい長く感じるよ」

 

満足度は80点!

《SHADOW/影武者》

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《監督》チャン・イーモウ

《出演》ダン・チャオ/スン・リー/チェン・カイ

《あらすじ》時は戦国時代、ペイ国が領土を、敵の炎国に奪われて20年。若くしてトップを継いだ王は、敵と休戦同盟を結び、平和だが屈辱的な日々に甘んじていた。奪還を願う男たちの燃え上がる闘志を束ねているのが、頭脳明晰で武芸の達人の重臣・都督だ。都督は敵の将軍にして最強の戦士・楊蒼に、手合わせを申し込む。彼の勝手な行動に怒り狂う王だが、実は目の前の都督は影武者で、本物の都督は自分の影に、自由と引き換えに敵地での大軍との戦いを命じていた。そして王も、ある作戦を秘めていた。果たして、影武者を待つのは光か闇か、それとも…?

チャン・イーモウ監督による武侠系作品!

この作品、とにかく個性が強い!

ほぼ全編に渡って琴をメイン(というか琴だけ)とした楽曲が居並び、静的なシーンと動的なシーンの静けさと荒々しさの対比も、上手く描き分けている!

そして本作で特に目を引くのが、アンブレラ・ソードと呼ばれる傘状に展開する刃だ!

厨二心を擽る形状だけれど、これが案外便利で、攻撃を上手くいなす他に、刃は遠距離用の飛び道具としても使用できる!

そしてなんと雨風も防げる!傘だけに非常に実用的だ!

白と黒を基調とした画作りも、とても美麗で良い!

スロウで流れる独特な体術のぶつかり合いは、まるで絵画のような完成度を誇る。

中盤にかけてのもったりした流れや、凡庸な構図は退屈だが、後半の展開の激しさや、特異なアクションシーンには思わず癖になり、見入ってしまう魅力がある!

 

満足度は70点!

《アド・アストラ》

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《監督》ジャームズ・グレイ

《出演》ブラッド・ピットトミー・リー・ジョーンズ/ルース・ネッガ/リヴ・タイラードナルド・サザーランド

《あらすじ》ロイ・マグブライドは地球外知的生命体の探求に人生を捧げた英雄の父を見て育ち、自身も宇宙飛行士の仕事を選んだ。しかし、その父は地球外生命体の探索に出た船に乗ってから16年後、32億キロ離れた太陽系の彼方で行方不明となった。日々命がけで働くロイに、ある日、父親が生きていると告げられる。そして、太陽系の全てを滅ぼす力を持つ実験“リマ計画”に関わっていた事も…。

ブラピ主演の宇宙を舞台にしたSF映画

古典的とも言えるこの映画を、どこに出しても恥ずかしくないエンターテイメントとして昇華させているのは、偏にブラッド・ピットの高い演技力のおかげか。

撮影陣がひたすらアップで表情を映すシーンに拘り続け、彼がそれに120%の力で応えてこそ、この作品は成立したに違いない!

細かな表情筋の動きなど、彼が演じる繊細そのものなキャラクターの魅力を、存分に引き出す作品となっている!

ただ難を挙げるとすれば、撮影、映像、音楽のクオリティは抜群なのだけれど、いかんせん話の軸が弱い所為か、首を傾げたくなるような矛盾点がいくつも出てくる。

脚本が割とよくまとまっている為、余計に矛盾点だけが悪目立ちしてしまっている気もする。

"リマ計画"の部分について、もっと詳細の説明が欲しかった(観客に考えて欲しいという意味なら、惜しくもその意図は失敗したと言える)。

 

満足度は70点!